ばらの品種について ー2

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桜 貝

 フロリバンダ房咲き品種で桜色をした可憐な花である。樹勢は強い方である。至って育てやすい。


サマー サンシャイン

 黄色の濃さで競うと、これが最高だろう。1962年の作出。咲きはじめから開花まで褪色もなく、多花性で木は高性である。黄色ばら共通の花足の早さは仕方ないところ。しかし、剪定から開花までは黄色の花では早い方(やや早咲き品種)である。


シージャック

 門司の上森俊二氏といえば、東の近藤広氏と並び称せられるコンフィダンス作りの名人である。彼が栽培している数十株のコンフィダンスの中に偶然、クリームイエローの弁端にピンクの走った花を発見したが、その花がガーデンパーティに非常に似ていたために、誰かが切って置き忘れたものだろうと思ったという。ところがいつまでたっても花がしおれず、いい花に仕上がっていったのでびっくりしてよく見ると、コンフィダンスの幹から咲いているいわゆるスポーツ(枝替わり)だったわけである。以来、氏は同品種の固定のために2年を費やし、品種登録して世に問うたわけである。

 花はガーデンパーティに似ているので、よく咲けばコンテストの賞をガブ取りする可能性を持った秀花である。コンフィダンスは春はあまりよく咲かないが、シージャックは春もいい。無駄花もコンフィダンスほどではない。

 シージャックは「海賊」という意味であるが、名前が嫌いだからといって作らない人もある。この品名の由来は、シージャックでもって賞品を全部かっさらうという楽しい一杯機嫌で命名したもので、そういう意味でコンテストの嫌いな人には受け入れられない部分があるかもしれない。

 色を除けば全部コンフィダンスの特性をもっている。スポーツ種ではどうしても親には勝てないというのが通説であるが、最近の実績ではむしろコンフィダンスをしのぐ活躍振りなのである。


ジェミニ

 弁端に淡いピンクをつけて、ゆっくりと咲いてくる。やさしさと可憐さを咲き始めから醸し出し、最後まで期待に応えてくれる。弁数は少ないが花持ちはよい。不思議な花である。秋は少し色が薄く出るようだ。 


大文字

 京阪枚方バラ園芸の作。橙色で作りやすいこともあって、初心のころは必ず栽培すると言っていい花である。春は早咲きで、まずこの花から咲きはじめる。

 欠点は、花がしだいに青味を帯びてきて美観を損ねるブルーイングが出ることであろうか。


丹 頂

 剣弁高芯咲き。照り葉で弁端が赤。紫外線と関係するのか、日当たりのいい時には弁端と芯のコントラストが鮮やかで、ちょうど丹頂鶴が羽を広げたように美しいので、この名になったのだろう。

 ただ、切り花してしばらくすると、弁端から中心部に赤さが広がり、次第に特有の美観を損ねていくのが気がかりである。


千 代

 アマチュアのローザリアンで品種改良家、故太田嘉一郎氏を知らない人はない。千代の他にマダムヒデ、ロードマン、嘉奈など10種以上にのぼる。共通した特長は花芯が尖って格好がいいことであるが、逆に尖りすぎてぎすぎすし過ぎる面もある。また、交配親がトゲのきついものだったのか、どれも小さいトゲがしつこく、クセ花が多い。花首が曲がりやすいが、赤ではないが独特の色合いを持つ。


デイム和子

 埼玉の前日本ばら会長・故高橋武氏の作出。花が湿気に弱くブルーイングしやすいので、関東ではあまり評判がよくないらしい。しかし、威風堂々としており、花自体は好きだ。


手児奈

 小川宏氏の作出。メルヘンケーニギンとノービーの子。花は、色と型ではノービーを受け継ぎ、葉とステムはメルヘンケーニギンを受け継いでいる。

 ノービーはやや横張り型であるが、手児奈はすっきりと伸びている。


ノービー

 「ノー ビー」は、日本バラ会名誉総裁である寛仁親王妃信子殿下の愛称。作出者・小川宏氏は皇族に断りなく命名したと言うので「プリンセス・ノービー」にクレームをつけられ、「ノー ビー」になったという挿話がある。

 この花、やや小振りではあるが美しい。最近の花では色も特長的で樹勢も強健である。なかなかに信子妃殿下を言い得て妙のところがあり、「プリンセス・ノービー」のほうが、後世に残っても恥ずかしくない名前であったろうに。

 半横張り型で樹勢が強い。やや丸弁であるが、濃い明るいピンクが美しい遅咲き品種である。


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