ばらの品種について ー3

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白鳥

 トゲの少ない、どちらかいうとズングリ型の白花。樹勢も強い。半丸弁で高芯のため、コンテストでは不利である。弁質は厚いのがかえって傷みやすいところあり。

 咲いた様子が白鳥のくちばしに似たところがあって、この名になったのだろう。京成ばら園芸の作出。初恋、魅惑、晴世 などと同族。


初恋

 剪定したところから枝が出るとそのまま斜め方向にグングン伸びていく。枝直ししなければ花首だけ持ち上げて咲く。花のセンターから色のいい淡いピンクが出てくるように工夫すれば魅力が増す。

 この花がもっと美しくなる条件は、淡いピンクが花芯からあがってくるようになることである。そうなればもっと品がよく仕上がるのであろうが、まだ作りこみが足りずにピンクの色が不満である。初恋はもっと甘く、切ないも のではなかったか。


パパメイアン

 ビロード黒赤の甘いダマスク香りがして、良い花である。花が早すぎてすぐにパンクするのが欠点だが、時として重ねが多くて花持ちがいいのに出くわす。

 樹勢があり、樹高が3メートルにも達する。


パローレ

 極大輪暗紫色、強香の高芯剣弁咲きは展覧会場をひときわ魅力的に引き立たせる。より神秘的で深みがある。樹高はそう高くならず、中程度である。 2004年。ドイツ コルデス社の作出。


ビッグチーフ

 樹勢強じん、葉と花のバランスが抜群によく、花もビロード赤で言うことなし。それに甘い香りも強烈である。

 それほどに魅力のある品種であるが、葉が焼けやすいのが最大の欠点である。関東にビッグチーフ作りの名人がいて、いろいろと手ほどきを受けたことがあるが、遮光が絶対であるという。

 この花を見て来年作ってみたいという方が出てきた。素直に嬉しい。


武 州

 輝くばかりの美しい照り葉をバランスよく従えたステム。その頂きに明るく橙色の剣弁高芯の花が誇らしく咲いている。全国展で最高位を占めることもある。

 樹勢は強い方で、上にそびえるように伸びていくが、花がやや小さい。


ブラックティ

 茶褐色のこの花は20数年前の作出当時から有名だったが、コンテストをしていた頃は見向きもしなかった。ばら展でいろいろな花を紹介することになって漸く集めなければと思うようになった。栽培し始めると、結構な癖花であり、思うように咲かせられないことがわかって驚いている

 褐色の品種ではジュリアやレオニダスなどがあるが、楽しみのばらとして、満開を過ぎても面白い花である。


プリンセス・ドゥ・モナコ

 メイアンがモナコ王妃のグレースケリーに献呈したのでこの名がある。足が短く、ズングリして格好はいいとは言えない。だが、花の美しさ気品の良さは欠点をカバーして余りある。照り葉も美しい。


ブルームーン

 よく咲いたブルームーンは、品の良さ、母性的な優しさにおいて、他の追随を許さない。普段は平凡そのものだが、時として奮い立つような素晴らしい波が押寄せてくる。それを再現させたくて、こだわって捨てきれないのだ。「今年こそいい花が来なければ捨てちゃうぞ」と脅かすと、その年には必ずいい花がくる。・・と言うのだが。


フロージン'82

 「南の関」のスポーツ親であるが、咲き終わりになって、驚くような明るい花びらが出現して感動を呼ぶ。この花が咲く頃はだいたいどの花も咲き終わりあたり。とげが少なく、葉と花とのバランスはいいので、もっとネバってくれたらと思うが、花足は早いほうである。

 半丸弁でコンテストの舞台には弱いが、『どこか捨て難い愛くるしさがあるのよ。よく見ると花型が白鳥のくちばしに似ているでしょう』と言う人あり。1989年の京成ばら園芸の作。初恋、魅惑、晴世などとの兄弟であろう。


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