メルヘンケーニギンの枝変わり

 平成7年/1995 「ローズふくおか」No.8 掲載

 メルヘンケーニギンの枝変わりが発見されたのは一つは熊本の福島氏のところ、もう一つは私のところである。

1. 福島氏のところのメルヘン

福島氏はこれをニューメルヘンと仮称しているようだ が、この特徴は次のようである。

  1.  葉が照葉である。
  2.  花色は一般のメルヘンに比較し、いわゆる白ボケが少なく、ややピンクが強く出る傾向がある。
  3.  花持ちはメルヘンより長い。弁数がやや多い。
  4.  花型はメルヘンよりヒップが大きい特徴を持っている。
  5.  葉がいくぶん波を打ったようになるきらいがある。
  6.  葉先がノコギリのように尖っている。

 福島氏が「ハイネスの葉のメルヘンが咲いたよ」と電話を寄越してきたので早速氏の所へ出向いて見てみたが、色も濃く花形もよいので、「これはなかなかいいじゃないですか」といってけしかけたが、ご当人は葉がウドンコ病にかかったようにして成長し、花の時期になってもそのこむら返りのような葉はやや目立ったままであることから、もともとスマートさ無欠点主義を貫く彼の基調にすれば、やや期待薄というところらしい。

 しかし、これを伝承し、引き続き栽培するなかで、捨てがたい味を持つことが分かってきている。

 それはメルヘンは弁数が少ない方で、そのため花足も早い方だし葉の貧弱さも手伝ってボリュームに欠けるところが1花や2本組花になかなか勝てない理由のようであるが、ニューメルヘンは濃いピンクを携えて、ゆっくり、しっかりと咲いていくところが長所である。この長所は時としてボテボテした感じを出すこともあるが、総じてメルヘンより勝っているのではないかと思われるところから、株を増やし様子を見ているところである。

 葉のこむら返り (ウドンコ病様)とノコギリ状の尖りの2つの欠点を今後どのようにして改善していくかで長所をさらに強調することができるかもしれないと思っている。

2. 私のところで発見されたメルヘンの枝変わり

 去年の秋、メルヘンの葉陰にひっそりと咲いていた白い花を見たときは何しろ初めてのことだったので、感動 して、すぐに小田さんや福島さんに電話したものである。2〜3日して小田さんが見えたときもやや小振りな真っ白なこの新種は私が発見したときそのままの姿で咲きつづけていた。

 それからが大変である。この細い貧弱なステムをどのようにして増やすか心を痛めた。

 玉名郡岱明町に尾田さんという芽接ぎの達人がおられてその方にもご登場願い7芽接いでもらって全部成功。それに私も同じくらい接げたので、うちに合計12本ほど新苗として成長中である。

 もう待ちきれなくて春先に咲かせてみたが昨秋のファーストインプレッションのようには感激がなかったのは花の白さがいわゆる純白でなく、ちょっとうす汚れた白のように映ったからである。

 だがまだ勝負がついたわけではない。 この秋にどんな花容で咲いてくれるか。

 まだ、名前がついていないが、名前に頭を悩ますようになればよいがと思ってとても楽しみにしている。


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